活動日誌−伊藤けんじ
【21.03.11】亜炭鉱の調査資料を紛失していた(3月議会一般質問)
不二ガ丘で実施した調査の報告書を紛失
1976年度(昭和51)に不二ガ丘で実施した、亜炭竪坑跡地質調査の報告書を春日井市が紛失していたことが明らかになりました。事の顛末についての詳細と再発防止を強く求めました。
市民からの問い合わせで発覚
情報公開請求をしてこの報告書を取り寄せた市民の方から「不可解な記載がある」との問い合わせを受けたことが、事件の発覚のきっかけでした。報告書に「危険」と書かれている箇所が「良好とは言えない」と書き変えられていたり、「崩壊のが波及する」と書かれているところが「ただちに浅所陥没を起こすとは考えられない」と、180度違う結論に書き変えられていました。
当時、私がいただいた報告書の写しにはそのような書き加えはなされていません。
手を加えていない物を紛失してしまった
調査の結果、当時、報告書は複数作成され職員によるメモ書きがされたものが情報公開で市民の手に渡ったとのことです。手を加えていない報告書は紛失してしまったとのこと。手を加えていない報告書のコピーだけは残っており、今後はこのコピーを保存していくことになりました。
質問原稿の抜粋(後日、詳細な議事はアップします。
亜炭鉱についての質問は、これまで何度もしておりますが今回の質問は亜炭鉱対策についての質問ではございません。市が管理する亜炭鉱に関する資料について、ミステリー事件のような出来事がございましたので、その詳細をつまびらかにし、今後このような問題が起きないようにしっかりとした管理を求めるものです。
私は2011年3月議会の一般質問で次の内容の質問をしました。
春日井市が、1975年、昭和50年から10年間かけて実施した、亜炭鉱の調査や空洞の充填工事の内容について。そして、それに関する報告書や資料は、30年の保存年限を超えて、保管管理をすることを求める質問です。
答弁は、「亜炭鉱の工事や調査に関する重要な資料につきましては、今後も必要と思われるものは、整理・調査するとともに、保存期間を延長し、大切に保管してまいりたいと考えております」というものでした。
その際、当局において保存資料の調査が実施され、貴重な調査資料が複数見つかりました。いずれも、春日井市の亜炭鉱の状況や、春日井市が行った対策工事の内容を記載した、極めて重要な資料でございます。2011年9月議会では、情報公開については「開示の申し出があれば、現在の条例に準じ判断する」との答弁がありました。
その資料の一つに、1976年 (昭和51年)度に実施した、「亜炭 竪坑跡 地質調査報告書」がございます。これは、不二ガ丘で行った調査についての報告書です。不二ガ丘地内の三地点において、ボーリング調査や、地面に振動を与えてその伝わり方で地下の状態を計測する弾性波探査試験を実施したものです。調査結果を基に、当該地の地盤の概要と、亜炭鉱跡の空洞の状況、そしてそれがどのような危険性を有しているかを考察されています。
坑道(横坑)の状態についての記載を抜粋します。
「調査地点のうち、二か所は地上から7〜8メートルの深さ、もう一か所は12〜14メートルの深さ、坑道の空洞の高さは0.3メートルから1.8メートルとバラバラで、1〜1.2メートルのところが多いが、これはもともと1.8メートルほどあった空洞が圧縮されて小さくなったと考えられる。一部、坑道の高さが3.3メートルになっているところがあるが、坑頂部の落盤によるものと考えられる」などの調査結果が記されています。また、住民や元採炭夫(作業員のこと)の方への聞き取りをした内容も記されています。
これらの調査結果に基づく考察の記載を抜粋します。
「本地点の竪坑は陥没の前歴があることや、弾性派の走時異常、ボーリングで確認された坑内状態、およびPS検層によるS派速度からみて、坑内埋戻し状態はかなり不良であり、危険な状態にあると言える」
「142-2番地付近の坑道内に存在する高さ3.3メートルの空洞が問題であり、空洞上部は亀裂が発達していることとから、崩壊が漸次(ぜんじ)上部に波及してゆく恐れが充分考えられる」と、危険性についてもかなり具体的に記載されています。
不二ガ丘では、その後、1984年 (昭和59年)に重力調査を実施していますが、昭和52年のような調査はしておらず、今現在においてもこの報告書が最新のものであり極めて重要な資料です。
この資料について、昨年の年末、市民の方から次のような問い合わせをいただきました。「以前、情報公開請求をして、亜炭鉱の調査資料を取り寄せたが、不可解な記載がある」というものです。確認しますと、今紹介した昭和52年の亜炭 竪坑跡 地質調査報告書の記載の中に、複数の書き加えがなされていました。この資料が出てきた2011年に私は、その資料の写しをいただいており、それにはそのような書き加えはなされていません。
報告書は手書きで書かれたものをブループリント(青刷り)という当時のコピー機で焼いて製本されたものです。これに一部、一本線や二重線で文字を消し、その上に別の文章を書くという方法で修正がなされていました。この修正が、日本語の修正程度ならよいのですが、内容を大きく変えるものでしたので、大変驚きました。
先ほど紹介した「危険な状態である」とした部分は二重線で消されており、「良好とは言えない」と書き変えられていました。
「崩壊が漸次(ぜんじ)上部に波及してゆく恐れが充分考えられる」と言う部分は、先ほど紹介した記載のすべてが一本線で消され、「ただちに浅所陥没を起こすということは考えられない」と書かれていました。つまり、結論が180度異なるものになっていたのです。
これは誰が、いつ、どういう意図で書き加えたものか、お尋ねします。
これが(1)です。
この報告書は、先ほど紹介したように公文書として取り扱われ情報公開の対象になっています。現在春日井市内でも実施されている、JR東海のリニア中央新幹線の工事に当たって実施された環境影響評価における、当該地の亜炭鉱に関する調査は、まさにこの資料に基づき結論付けられたものです。環境影響評価の信ぴょう性にまで及ぶ可能性があります。JR東海にはどの状態の資料を提供したのか。加筆修正されたものか、そうでないものか。お答え願います。
また、この資料について、情報公開請求はこれまで何件あったのか。それに対してどのような資料を公開したのか。詳細をお尋ねします。
ここまでが(2)です。
亜炭 竪坑跡 地質調査報告書への加筆修正がどのようになされたものであれ、貴重な公文書の取り扱いに問題があったとしか言えません。「大切に保管する」と答弁されたことが、全く守られていなかったわけです。貴重なこの資料の管理が、どのようにされていたのかお尋ねします。これが(3)です。