活動日誌−伊藤けんじ

【20.12.13】公共下水道の次期整備区域の選定は慎重にすべき(12月議会一般質問)

下水道の整備区域を拡大すべき理由はほとんどない

 11月の閉会中の建設委員会で、次期下水道整備区域の選定方法についての報告がありました。下水道の整備は、春日井市が負担すべき投資額も膨大で、将来にわたり春日井市の行財政運営に大きく影響します。

 一般質問の中で、春日井市の河川も、春日井市の水が流れ込む名古屋港の水域も環境基準をすべてクリアしており、環境という点では下水道を整備すべき理由はないことも明らかになりました。

 そして、整備区域の住民には受益者負担金や、接続工事に係る費用などの負担が生じます。これらの事から、次期下水道整備区域の選定は慎重にすべき、そして、住民に対して意向調査をして判断すべきだと訴えましたが、市は否定的な考えを示しました。

議事のやり取り

◆26番(伊藤建治君) 11月の閉会中の建設委員会で,次期下水道整備区域の選定方法についての報告がございました。下水道の整備は,春日井市が負担すべき投資額も膨大で,将来にわたり春日井市の行財政運営に大きく影響します。昨年度末の市債残高1,344億円のうち,公共下水道の企業債は467億円で3分の1以上を占めています。残る公共下水道の整備予定区域全ての面整備に必要な経費は,2012年の下水道基本計画書で見込んだ総額から,既に整備をした出川地区と現在整備中の上条地区の経費を除くと約800億円になります。8年前に出された数字で,その後増税があり,物価が上がり,人件費が上がり,さらに,上条地区の工事の費用増もありますので,現実的にはもっと費用がかかるものと見込まれます。

 春日井市の財政規模に対するこの額は,他のどの事業と比較をしてもボリュームが桁違いに大きいものです。つまり,春日井市の長期的な行財政運営がどうなるかは,今後の公共下水道の整備の規模とテンポに大きく左右される。本市がのるか反るかは下水道事業次第。そのかじ取りは,行財政運営上,最も重要なファクターでございます。

 あらかじめ申し上げると,汚水処理の方法としては,排水が一切地域に出ないという点,合併処理浄化槽の処理スペックは下水道よりは見劣りするという点から,公共下水道が理想とされています。お金がかからないなら,あるいは必要経費を国が負担してくれるなら,どんどん下水道を整備してもいいかもしれません。しかし,現実は,先ほど申し上げたとおり,市の行財政運営に大きく関わるものですので,その判断は慎重にすべきものです。地方自治法第2条第14項では,最少の経費で最大の効果を上げるようにしなければならないと規定されています。下水道事業においては,より慎重に,投資に見合うだけの効果があるものかという観点を重視し,計画策定に当たるべきものです。

 適切な汚水処理の方法は,下水道以外にも,合併処理浄化槽や団地の集中浄化槽など様々ございます。国は,これらでも遜色ないレベルで水をきれいにできることから,これらの処理方法も含めた汚水処理人口の向上を目標にしており,春日井市の総合計画もそのような組立てになっています。総合計画では,現在整備中の上条地区の面整備が完了する2026年の汚水処理人口普及率は96.1%としており,次期下水道整備はここからのスタートとなります。2001年度から新規に設置する浄化槽は合併処理浄化槽しか認められなくなりました。また,春日井市も,単独浄化槽から合併処理浄化槽への転換を促進し,補助金も都度都度増額をしてきました。そのため,合併処理浄化槽の普及率は年々上昇しております。今後の下水道整備は,合併処理浄化槽の普及が進んでいる中で行うことになります。

 合併処理浄化槽から下水道に切り替えたとしても,汚水処理人口普及率には影響しません。今後の下水道整備は,国や総合計画が目標としている汚水処理人口普及率の向上にあまり貢献しないのではないかとも思われます。そもそも,2026年に96.1%という数字も,全国的な平均値と比較をしてかなり高い水準であり,行政目標としては,十分に及第点以上のものとなります。さらに言えば,今後新規で設置される浄化槽は全て合併処理浄化槽ですので,時間の経過とともに,放っておいても汚水処理人口普及率は上がっていきます。

 まずは,この見込みについて。96.1%という汚水処理人口普及率が達成できるものかどうかお尋ねいたします。そして,この高い汚水処理人口普及率の中,さらに800億円もの投資をして公共下水道を整備する合理性があるのか,次期下水道整備の汚水処理人口普及率への貢献と費用対効果についてどう考えているのかお尋ねいたします。ここまでが(1)です。

 下水道整備は,市の財政だけでなく,整備をした地域の方にも負担を求めるものです。受益者負担金だけでなく,接続に際しては,配管の設置,浄化槽の処分などの工事が必要で,それらは全て住民負担となります。下水道が整備された出川地区のとあるおたくでは,浄化槽を設置していた場所と反対側の道路に配管が来たため,屋敷内の配管を全てやり直し,200万円の工事費がかかったというお話もお聞きしました。また,家を建てて数年しかたっていない,合併浄化槽がまだまだ使えるのにという戸惑いの声もございました。

 さきも述べましたように,今後の下水道整備は合併処理浄化槽の普及が進んだ中で行われるものであり,また,多額の負担を住民に求めるものでございますので,下水道整備区域の選定に当たっては,住民の意向調査をすべきではないかと思いますが,御所見を伺います。これが(2)です。

◎上下水道部長(小久保健二君) 私からは,質問事項3,公共下水道事業についての御質問に順次お答えいたします。
 初めに,小項目1,汚水処理人口普及率につきましては,次期整備区域が決まっておりませんので算出できませんが,今回の区域の選定にあたり,汚水処理人口普及率に影響する単独浄化槽やくみ取りの多寡を指標としておりますので,次期整備区域の整備が完了した段階では,総合計画の目標値を上回るものと見込んでおります。また,費用対効果につきましても,今回の区域選定のための比較検討項目として指標化し,選定を進めております。

 次に,小項目2,地元への意向調査についてですが,平成24年の下水道基本計画の策定にあたり下水道に関する市民アンケートを実施しており,生活排水処理の方法として,「下水道の整備」とした方が市街化区域にお住まいの方の約8割を占めております。また,そのうちの約9割の方が,「下水道整備に長時間を要する場合においても,下水道整備を望んでいる」といった結果となっております。今回は基本計画に基づき整備をする区域の順番を決めるものとなりますので,改めて意向調査を行うことは考えておりません。

◆26番(伊藤建治君)公共下水道事業について,(1)の2回目でございます。
 公共下水道の整備目的は,公衆衛生の向上,そして公共用水域の水質保全とされています。現時点において,春日井市内の河川の水質がどうなっているのかといいますと,17か所ある水質調査地点は,いずれも環境基準を超えている項目はございません。また,春日井市の河川水が流れ込む名古屋港の水域は,窒素,リン,COD,いずれも環境基準を達成しており,これ以上の改善を要しません。窒素とリンについては,ある程度は水域の海洋生態系を維持するのに必要な栄養素であり,現在は,それが減り過ぎて貧栄養化となっているとの報告もあります。公共用水域の水質保全のための投資という意味は失っていると考えますが,いかがでしょうか。

◎上下水道部長(小久保健二君) 小項目1の2回目の御質問にお答えします。
 東海3県における下水道の整備には,閉鎖性水域である伊勢湾の水質改善に資することが求められております。伊勢湾には,汚濁負荷を削減するための目標量が定められており,国や県が流域別下水道整備総合計画を策定し,水質の改善に向け関係自治体が協力して進めていくこととしております。現在,名古屋港の水質が改善傾向にあることは承知しておりますが,伊勢湾の水質につきましては今後も改善が必要なことから,本市におきましても,下水道基本計画に基づき,引き続き下水道整備を進めてまいります。

◆26番(伊藤建治君) (1)の3回目です。
 伊勢湾の水質改善という御答弁でございました。伊勢湾水域は4つの水域によりまして構成をされておりまして,春日井市の水は名古屋港(甲)に流入します。ここは,先ほど申し上げたとおり,全ての環境基準をクリアしています。そして,伊勢湾全体としても,クリアできていないのはCODだけです。CODは,陸から流れ込む有機物だけでなく,還元性の無機物や海洋プランクトンなどにも影響されますので,これだけをもって水質が悪いとは言えないものです。

 この一連の話で見えてきたのは,公共下水道を整備する動機としては,伊勢湾水域のCOD,しかも,春日井市の水が流れ込んでいない水域についての話,この1点のみであるということです。ただこれだけの理由で,春日井市の財政を揺るがしかねないほどの規模の投資を行うのにどこまで合理性があるのか,その検証が必要です。

 投資の額が大きいということは,その後の維持管理費も同様に大きいということ。下水道は,一度整備すると縮小することはできません。人口が減少化していくことを見据えて,10年,20年程度ではなく,下水道施設が使われる100年規模の長いスパンで事業を見通すべきものでございます。来年4月には次期整備区域の設定をするということでございますが,財政負担が大き過ぎるのに対し,合理性に乏しくなりつつある下水道整備について,判断する材料に乏しいまま性急に判断をすべきではないと思いますが,いかがでしょうか。


◎上下水道部長(小久保健二君) 小項目1の3回目の御質問にお答えさせていただきます。
 公共下水道整備は,公共用水域の水質保全だけでなく,公衆衛生の向上による生活環境の改善,ひいては,都市基盤としてまちの価値の向上にもつながるものとなります。今後の長期にわたる市の将来を見据え,また,投資効果などにつきましても十分に勘案しながら区域を選定し,効率的かつ効果的な整備を進めてまいります。

◆26番(伊藤建治君) (2)の2回目に移ります。
 住民の意向調査についてです。平成24年のアンケートで,約8割の方が下水道を望んでいたとのことでした。そこから8年が経過をしており,次期整備はさらに7年後です。そして,そのアンケートは,住民の方に受益者負担金や接続に係る経費,接続後の使用料について説明をして集めたものではありません。しかも,下水道使用料はその後値上げが決められました。1.5倍になります。住民の方が判断するに必要な情報が与えられないまま,8年も前に集められたアンケートで,それを将来の住民の意向だと読み替えるのは,いささか飛躍し過ぎです。

 かつて,くみ取りや個別浄化槽しかなく,下水道を整備することに大きな意義があった50年前とは違い,今はその意義が薄れてきている。しかも,整備によって多額の個人負担もお願いするものです。例えば,区画整理事業も,法定の合意率よりかなり高い合意をもって事業の判断をしています。それは,住民の財産に関わるからであります。下水道も,性能の良い合併処理浄化槽という財産を放棄してください,そして,さらに投資もして接続してくださいというもの。合意の取付けは必要な手続です。

 春日井市内においても,ここは下水道を整備したほうがいいなと思う地域もあります。以前にも申し上げましたが,不二ガ丘だけは,住宅の開発の時期や状況,そして住民の意向などから下水道整備が見合うと思っています。ただ,それは,恐らく当局の皆さんが次にと思っているところとは違う。地域の状況と当局の思惑とのギャップを埋めるという観点からも,意向調査が必要です。その上で整備区域を決めていく必要があるのではないか,その点についてのお考えをお聞きいたします。


◎上下水道部長(小久保健二君) 小項目2の2回目の御質問にお答えいたします。
 先ほどもお答えいたしましたとおり,今回は,下水道基本計画に基づき整備する区域の順番を決めるものとなりますので,市民に分かりやすい方法で区域を選定し,皆様の御理解を得ながら整備を進めてまいります。

◆26番(伊藤建治君) (2)の3回目です。
 下水道整備は,春日井市の行財政運営に大きく関わること,住民にも負担がかかること,環境への貢献としての意義が薄まっていることなどの視点でお話しをさせていただきました。過去のルールややり方を踏襲するのみが,あるべき行政の形ではありません。下水道の進め方については,状況や環境の変化に即し,やり方を改めるべき時期に来ていることを御指摘申し上げて,この質問を終わります。

▲ このページの先頭にもどる

トップページに戻る
RSSフィード(更新情報)