【20.04.01】下水道使用料、大幅値上げ(3月議会)
1.5倍もの値上げ
3月議会において、12月議会の一般質問で再考を求めた「下水道使用料の値上げ」の条例改定案が出され、可決しました。
下水道使用料は、現在の一立米あたり100円から150円へと1.5倍もの値上げとなります。具体的には、多くのご家庭が該当するひと月20立米使用した場合の使用料は約900円の値上げで、年間1万円を超える値上げです。
二段階に分けての値上げで、今年2020年は平均30%(130円/立米)の引き上げ、2022年に平均15%(150円/立米)まで引き上げます。
値上げの幅には根拠なし
現在汚水の処理には、1立米あたり約181円かかっていて、これまで100円を使用料として徴収。市は81円を繰り入れてきました。国は、150円を超える額は市が繰り入れてもいい(市の繰り入れ81円のうち、31円は基準内の繰り入れ、50円は基準外という考え方)という基準を示していますが、この基準には根拠がありません。また、基準を超えた繰り入れをしても、ペナルティなどの問題はありません。
県内他市の使用料や、他の処理方式での経費と比較をすべき
自治体ごとに、公共下水道の規模は財務状況は異なり、国の基準にピッタリはまるような事業運営はできません。国の基準はあくまでも目安です。春日井市は、国の基準までは下水道使用料を引き上げなければならないということに固執し、今回の値上げを決めてしまいました。
これについては、根拠のない国基準ではなく、県内他市の下水道使用料の設定や、合併処理浄化槽や団地の集中浄化槽など、他の処理方式での経費を考慮し、それらとのバランスを取り、適正な使用料を見定めるべきだと指摘してきたものです。
本会議の質疑で、「国の基準が変わったら、また考え直すのか」との質問に対し、市は「その時はまた検討する」と答えました。
値上げによって、経営の健全化が図られたように見える
国の繰り出し基準を物差しにしてしまうと、基準額を市民から全額徴収することで「経営の健全化が図られた」ように見えてしまうことも問題です。国の基準が変わったら、財務内容が変わらないのに、「健全ではない」ことになってしまいます。
国の物差しにとらわれることなく、春日井市の下水道事業会計がどうなのか、市民負担はどうすべきか、今後の整備の規模とテンポはどうすべきかを、実情に応じて見極める必要があります。
市民生活をしっかり見つめたうえで、価格設定をすべき
今回の下水道使用料改定は、公衆浴場「いわゆる銭湯」の使用料も改訂されましたが、値上げの幅はごくごく小さいものでした。「なぜ銭湯の値上げは小さく抑えたのか」との質問に対し、「銭湯は公共性がある施設だから」との答弁がありました。その視点で、市民全体の下水道使用料も検討すべきではなかったのかと指摘しました。
下水道使用料の設定には、「春日井市としての根拠」が必要です。