活動日誌−伊藤けんじ

【20.03.13】LGBTパートナーシップ制度の制定を求める(3月議会一般質問)

理解がなかなか進まない

 LGBTとは、四つに分類される性的少数者をあらわす単語の頭文字を組み合わせた言葉で、性的少数者全般を表す言葉として、広く使われるようになりました。同性のみを好きになってしまう性的指向も、自分を男性だ、あるいは女性だと自覚している性と体の性が違う性自認も、自分の意志で選び取ったものではなく、生まれながらにして持っている感覚で、悪いことでも治すべきことでもありません。

 近年、様々な方面で、LGBTへの理解を深める運動が広がる中で、国を始めとした公的機関においても、その存在を認め理解を深める啓発活動が取り組まれるようになりました。春日井市においても2017年7月号の”かすがい男女共同参画情報紙「はるか」”の紙面3/4を使い特集を組み市民に向けた情報発信も行っています。

 こうした取り組みがあっても、まだまだ、理解が進んでいるとはいい難い状況。該当しない方にはその感覚や気持ちを理解してもらえず、性的少数者は誤解や偏見、そして差別の中で身を潜めて生きざるを得ないというのが現状です。

我が国の婚姻制度の見直しが必要だけれど

 異性同士の結婚しか認めないという我が国の婚姻制度が、多数者のためだけのものであり、性的少数者への差別そのものです。多様性を認め合うというのであれば、いずれの個性を持って生まれても、等しく認められ権利を行使できる社会の構築が必要で、我が国の戸籍制度はそこまで到達していません。

 日本共産党は今年一月の党大会で、党の目指す社会、政策をまとめた綱領を改訂し、ジェンダー平等社会を作ることを、政策の柱の一つとして掲げました。未だ根強い男女格差や性差別をなくすこと、性被害を社会から根絶すること、そして、性の多様性を理由とした差別をなくすことを目指します。

 今議会の代表質問でも、宮地議員が、女性の活躍推進とジェンダー平等について質問し、LGBTパートナーシップ制度についても触れました。対する市長の答弁は、個別の課題には触れず総括的に述べられ、「性的少数者が直面する課題を解決し、共に生きるためには、まずは、市民の皆様に正しい知識と理解を深めることが優先であると考えており、引き続き啓発を行う」という内容でした。

 理解を深めるための啓発に取り組むことは、とても重要ですが、どれだけ理解が深まったとしても、制度的に改善が図られなければ、性的少数者が直面している課題や困難は排除できません。

直面する困難

 パートナーの一人がトランスジェンダーのカップルとお会いする機会がございました。戸籍上は同性同士のカップルですので、どれだけ愛し合っていたとしても、現状のままで婚姻することはできません。

 少し前に、わが国でも戸籍の性を変えることができるようになりましたが、そのためには、性転換手術が必要です。性自認と体の性が相違していても、体にメスを入れて改造することにはすごく抵抗がある。手術も安全なものではなく、命がけ。そして手術後もホルモン注射を続けなければならず、癌になりやすくなるなど、体の負担も大きい。生まれながらの心と体のまま。自然のままで、生きていきたいと語られました。

 しかし、婚姻関係になれないことで、社会生活を送る上では、様々な困難に直面します。例えば、家を借りるに当たっての困難について、東京の団体が集めたアンケートには次のような実態が寄せられました。同性2人というだけで不動産屋から難色を示された。ルームシェアに該当し初期費用が2倍になると言われた。同性2人での入居は身内に限ると言われた。連帯保証人は、自分とパートナーそれぞれ別々に書かされた。など、男女のカップルでは生じない負担や困難があるとのことです。

 春日井市の市営住宅も、一緒に住めるのは親族のみとされているので、LGBTのカップルは入居できません。

 例えば、パートナーが病気で手術を受けなければならなくなった時、配偶者であれば許される、病状を聞くこと、立ち合い、意識がなくなった時の代理の同意書へのサインなどは、同性カップルではことごとく認められません。

 扶養家族として受けられる様々な控除も対象になりません。

パートナーシップ制度の制定が必要

 自治体において、同性同士のカップルをカップルとして認め、証明書を発行するパートナーシップ制度を設ける取り組みが出てきました。その数はまだ多くありませんが、2015年11月に東京都渋谷区・世田谷区でスタートし、現在34の自治体が制度を設けています。愛知県内でも西尾市が昨年9月に制度をスタートさせました。

 自治体によって制度もあり方も異なり、婚姻と同じような権利を有すものではありませんが、手術に立ち会えるようになった、携帯電話の家族割が適用されるようになった、制度ができたことでカミングアウトができたなど、喜びの声が上がっているとのことです。愛し合う二人が、社会的に認められたことが何よりうれしい、そんな声も上がっていました。

 春日井市においても、LGBTパートナーシップ制度を創設すべきだと訴えました。

パンフレットを作成する

 市は、まずは市民の性の多様性に対する理解の増進が前提。今年は市民向けの講座を行い、新たなパンフレットを作ると答弁しました。

 また、答弁では、制度をスタートさせた自治体について、スタート時には偏見による苦情が寄せられたことや、渋谷区のように任意後見人契約等の公正証書を求める場合は、手続きに費用が掛かり、制度が使いにくいという意見があること。また、当事者の宣誓により証明を発行している自治体では、証明の信用度が低く使途が限定されるなどの課題があることも述べました。

お金もかからない、誰にも迷惑がかからない

 市民の理解が深まるまで、手が打てないという段階論に陥るべきではありません。たとえ他の市民の理解が得られずとも、当事者の権利を守るための手立てを講ずることが行政の役割です。

 LGBT、ジェンダー、男女共同参画などと言った言葉を使うと、大仰に構えてしまうのですが、ことLGBTパートナーシップ制度については、すごくシンプルな話なのです。愛し合う二人を、ただ、認めてほしい。そのまま受け入れてほしいということなのです。制度構築にお金がかかるわけでもないし、誰かが迷惑を受けるものでもない。難しく考えすぎて足踏みする必要はありません。誰もが住みやすい町を目指すのであれば、多様性についても認め合える社会の形成に春日井市も役割を果たすべきではないでしょうか。

 制度制定を目指して、引き続き取り組みます。ご意見やご要望はいつでもお寄せください。

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