活動日誌−伊藤けんじ議員団より

【17.07.09】後期高齢者医療制度の改定(主に改悪)の中身

2008年にスタートした後期高齢者医療制度が、いよいよ、その悪質性をむき出しに。

 75歳以上の高齢者を、それまで加入していた健康保険から強制的に加入させる「後期高齢者医療制度」は、発足から間もなく10年を迎えようとしています。医療を最も必要とする高齢者だけを集めて保険制度を作れば、保険料は際限なく上昇する恐れがあり、また、受けられる医療についても現役世代と差をつける等の仕掛けも検討されました。これらの懸念から、発足当時は「現代の姥捨て山」と評され、全国各地で反対運動が巻き起こり、政府与党は「長寿医療制度」と愛称を付けるなど、悪いイメージを払しょくさせようと躍起になっていました。

 しかし、制度がスタートすると、大きな混乱は生じないまま、制度は定着していきました。

 混乱が生じなかった背景には、保険料や窓口負担が増加しないための軽減策が何重にも設けられていた事が大きな役割を果たしたものと思っています。これらの負担軽減策は「特例軽減」と称され、あくまでも一時的、限定的な取扱いとされていました。

 そしていよいよ、制度発足10年を目前にして、これらの負担軽減の仕掛けのほとんどをなくしてしまう事が決まってしまいました。保険料については10倍に跳ね上がる方もいます。窓口負担も5倍近くになる方もいます。発足当時に懸念されていた事柄は、制度の本質的な問題点であり、「特例」扱いの軽減策が取り払われてしまえば、その本性はむき出しになります。

 今年度2017年度からの3年間で、段階的に軽減策が廃止されていきます。その概要について解説します。

保険料の改定

 月々負担する保険料については、「元被扶養者の特例軽減」のほとんどと、一定所得の方に対する「所得割額の特例軽減」を廃止します。

元被扶養者の負担増

 75歳になるまでの間、社会保険の扶養家族になっていた方は、均等割額を一律9割軽減する制度でしたが、75歳、76歳の二年間だけは5割軽減とし、その後は軽減措置はなくなります。

 もともと、扶養家族の方は、年金収入が180万円以下ですが、収入の算定は世帯ごとに行われるため、元被扶養者8万人のうち、3.2万人は、収入階層ごとの軽減からも外れます。これによって、所得がゼロの方でも、満額の均等割額を負担しなければならない方もいらっしゃいます。

 

2019年(H31)までに段階的に軽減の引き下げを実施します。表は、最終的な数字。
負担増のスケジュールは以下の通り
2017年(H29) 4億5000万円 6.0万人 一律7割軽減
2018年(H30) 4億2000万円 4.5万人 一律5割軽減
2019年(H31)   3000万円 0.2万人 2割軽減該当者
       7億4000万円 3.2万人 該当しなくなる人

所得割額の負担増

年金収入153万円から211万円の間に位置する方に対する5割の軽減も、2018年度にはすべて廃止します。

一人平均1万4000円の負担増
年度ごとの影響額と人数
29年 7億6000万円  9.1万人
30年 5億1000万円  9.1万人

 

ほんのちょっとだけ、軽減対象は拡大した。

 一連の負担増と比較をすると、ほんのわずかではありますが、均等割の軽減対象を拡大しました。

2割軽減該当者の増 2000万円 0.2万人 ※負担軽減(一人1000円)
5割軽減該当者の増 4000万円 0.2万人  〃   (一人2000円)

高額療養費の限度額引き上げ 

 月々負担する医療費の上限額である高額療養費は、これまで現役世代の約半額程度でしたが、現役世代と同じ枠組みになります。多くの方が該当するであろう「一般所得」の方は約4倍に。現役世代の高額療養費も所得階層ごとに細分化され、一定所得以上の方は、その上限が大幅に引きあがっていますが、後期高齢者も同じ枠組みになることで、5倍もの負担増になる方もいます。

 医療を必要としている高齢者にとっては、高額療養費の枠組みが、医療を受けるために最も重要な枠組みです。ここが大幅に引き上がることは、文字通り医療を取り上げることに繋がりかねません。

2017年7月まで

 

第一段階目2017年8月から2018年7月まで

 

第二段階目2018年8月から

 

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