活動日誌−伊藤けんじ

【17.06.26】「子どもの家に入れない」保護者から行政不服審査請求 6月議会

子どもの家に入れない

 子どもの家の利用を申し込んだものの、定員オーバーにより、利用が不許可とされた保護者から、行政不服審査請求が出されました。

 子どもの家は、両親が共働きなどで監護に欠ける児童が利用する施設ですが、今回の申立者についても、利用要件を満たしていました。子どもの学年、親の就労状況などから、点数を付け、点数の高い人から順に利用許可をします。定員を超える申し込みがあった場合は、点数の低い方は、利用をお断りすることがあります。今回の申立者は、このような事情にて利用許可がおりませんでした。

 不服申し立ての内容は、二点。
 一、「不許可処分を取り消して欲しい」つまり、子どもの家に入れて欲しいという事。
 二、定員オーバーで利用すべき人が利用できない状況をについて、市の姿勢を質すというものでした。

 諮問内容は「定員を越えての利用許可はできないという事。不服審査請求と言う手続きは市政について質す手法としては適切でない事から、棄却、却下という裁決を出したい」旨です。

 行政の手続き上は、今回の処分については諮問の内容を容認せざるを得ませんでしたが、子どもの家に入れない現状は喫緊に手立てが必要な事項であると認識しました。今回の不服審査請求は、問題提起としては、大きな役割を果たしたものです。難しい手続きを、勇気をもって行っていただいた方には心からの敬意を表します。

 後日、一般質問にて子どもの家の「待機児童」については、その状況を質します。

 以下、本会議質疑、委員会質疑でのやり取りを時系列で記します。

本会議質疑でのやり取りの概要

◆23番(伊藤建治君) 諮問第2号 公の施設を利用する権利に関する処分に係る審査請求について質疑を行います。
 提出をされました審査請求は,子どもの家の利用を申し込んだものの,定員オーバーのために不許可になってしまい利用できなかった。そのことに対して行われました異議申し立てでございまして,つまりは,子どもの家に入れてほしい,利用を認めてほしい,なぜ定員オーバーになってしまっているんだという切実な思いだと受けとめています。私自身も,子供を子どもの家に預けている親の一人でございまして,親の気持ちはとてもよくわかります。申立人の家庭の状況までは,この諮問の文面からは読み取れませんけれども,小さな子供が夜まで一人で留守番をしなければならないことに大きな不安を感じての異議申し立てであろうかと思います。
 まず,諮問のこの表題にもうたってあります公の施設を利用する権利について伺います。この申立人のお子さんは,子どもの家を利用する資格を有していたのか,つまりは,定員にあきさえあれば利用許可が出ていた方なのかという点についてお答えをお願いいたします。
 審査請求の詳細についてもお伺いします。議案書におきましては,審査請求の概要や主張が記載されていますが,これは概要でございまして,審査請求として提出されたものの全てではないと思います。審査請求として提出された文書の体裁,構成,あるいは記載の内容など,詳細についての説明を求めます。
 処分庁の主張についても伺います。大きく3点について述べられていますが,主には不許可とした処分についての理由が述べられています。これらについても,処分庁が審査庁に対して述べた,あるいは提出した弁明の要点筆記だと思いますので,弁明の構成や内容についての詳細の説明を求めます。

◎総務部長(福慶達男君) それでは,諮問第2号について,3点の御質問に順次お答えをいたします。
 まず1点目の,子どもの家の定員にあきがあった場合の審査請求人の利用資格につきましては,子どもの家は定員にあきがある場合,春日井市子どもの家条例第8条第1項に基づき,市内の小学校に就学している児童,または市内に住所を有し,小学校に就学している児童で,その保護者が労働等により昼間に家庭にいない者,またはこれに相当すると認められる者という条件を満たせば基本的には利用が許可されることとなります。審査請求人は,当該条件を満たしているため,定員にあきがあれば基本的には利用が許可されたと考えられます。
 続きまして,2点目の審査請求の記載内容につきましては,一部要約した箇所を除きまして,議案書に記載した審査請求人の主張内容とほぼ同様となっております。具体的には,議案書の60ページの3,審査請求の概要の(2)の審査請求の趣旨及び4,審査請求人の主張のうち(1)から(3)までについては,審査請求書の記載内容とほぼ同様であり,本件処分の取り消し並びに子どもの家に係る事務全般の適法性及び市の努力過程の調査及び公表を求める旨が記載されております。
 また,議案書の4,審査請求人の主張の(4)は,要約をした箇所でございまして,議案書に記載があります「定員超過により利用不許可となったことについて,努力したが避けられない状況で発生したのかどうか説明を求める」との主張の前に当たる箇所に「上記の内容があり,定員超過で利用不許可に至っている。再三,保護者より春日井市への請願をしてきた過去もあり,予想されていた結果である。到底納得できる内容ではなく,審査請求を求めるとともに」と記載されておりました。
 続きまして,3点目の処分庁の主張の詳細につきましても,処分庁の弁明書の記載内容は,議案書60ページの5,処分庁の主張に記載の内容とほぼ同様でございますが,弁明書には,子どもの家の定員の設定につき,春日井市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例に基づいているということが記載されております。

◆23番(伊藤建治君) 施設を利用する権利につきましては,定員にあきがあれば利用できたということですので,放課後,子供の監護に欠ける状態があるということです。子どもの家といいますのは,どなたでも申し込めば利用できるという施設ではなくて,やはり監護に欠けているという要件に基づくものでございますので,今回,子どもの家に入れない,不許可になってしまったことで,申立人,本当に困ったんだろうということが推察できます。
 それから,審査請求,処分庁の弁明の詳細についての答弁をいただきました。
 市長が審査庁となる場合の審査請求の手続において,今議会における諮問というのは工程の最後に行われることでございますし,また,中立的な立場から審理員の裁決に意見を述べる唯一のプロセスでございます。
 諮問を受ける私たちの責任は重いと思っていますし,でき得る限り真摯に審査に臨みたいと思っていますが,今回,議案として提出されている記載だけでは,判断ができかねると感じましたので,審査請求や弁明の詳細についてお尋ねをいたしました。
 議案書をもらったときから感じていることではございますが,審査請求として提出された原文であるとか,処分庁の弁明の全体であるとか,あるいはそれらを受けて,審理員が意見を取りまとめるに当たっての考え方がわかるものについては,やはり示していただく必要があるということです。
 今の答弁では,一定の要約筆記,要点の抽出などがなされているとのことでしたので,やはり今ほど私が挙げました審査請求の原文などは示すべきものと思いますが,それらを示す考えはないものか,答弁を求めます。

◎総務部長(福慶達男君) 議会から審理関係資料一式の提出の要求があれば,提出をさせていただきます。

◆23番(伊藤建治君) このような諮問を議会で取り扱うというのは,余り前例がなくて,どのような形で進めたらよいのかということを模索しながらの提案であろうかと思います。
 今回の審議が,今後同様の案件が出てきたときのベンチマークになってきますので,審議に必要な資料の提示は,適切に行うべきものと感じます。
 今の質疑のやりとりの中で,私は諮問されている内容までは踏み込みませんでした。材料がまだそろっていないので,踏み込むことができませんでした。今後の委員会におきましては,提示される資料も踏まえて審議に臨みたいと思います。以上です。

総務委員会でのやり取り

◆(伊藤建治委員) 議案書ではわかりにくかったんですけれども、審査請求書を見ますと、審査請求の趣旨が2点、併記で列挙されておりました。1点目が、不許可になった処分の取り消しを求めるもの、つまりは「子どもの家に入れてほしい」というもの、2点目が、不許可処分となった原因、つまりは「定員オーバーになってしまっている状態に対する説明を求める」という申し立てでございます。本件の場合は、処分庁は指定管理者でありますイルカクラブでありますから、イルカクラブは与えられた条件下で処分せざるを得ないと、「定員を超えての申し込みに対しては点数により優先順位をつけて受け入れるべき児童を選定するほかに手立てがなく、不許可処分とせざるを得なかった」と弁明していることについては妥当でありありまして、それに沿った裁決になることはやむなしだと思っております。
 しかしながら、本会議質疑の中でも当局のほうから答弁ありましたように、両親が仕事についているために監護に欠けている時間帯があるということで、子どもの家の利用の要件というものは満たしておりまして、定員に余裕さえあれば利用できた方であることからすれば、不許可となった責任というのは、この申立人にはございません。したがって、定員オーバーといいます不許可の原因になった事柄に対しても申し立てが及ぶということは、一定当然かなと思うわけなんですけれども、なおかつ、この審査請求の理由が4点列挙されておりますけれども、うち3つが原因に対するものでございまして、ウエートとしてはこちらのほうが重いわけでございますね。
 で、追加資料でいただきましたものの、審理員意見書の最終ページ、こちらには、どちらかといいますと不許可となった事柄に対する説明が主なものとなっておりまして、今述べました原因につきましては、処分性のない事項に係る要望であり、審査の対象とならないというふうに書いてあります。処分性のない事項に係る要望ではありますけれども、今回の処分の原因でございますので、この、答えられるセクションといいますか、今回であれば、この事業自体は市の事業でございますから、答えられる市がこの内容についても一定お答えしてもいいものかなというふうに思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。

◎(吉永総務課主幹) ただいまの点についてお答えいたします。追加でお配りさせていただきました審査請求書、総務委員会資料の2ページにあたりますが、こちらの中央部分に「4 審査請求の趣旨」という記載がございます。ただいま御指摘の、市のほうで今回の不許可の原因について答えるべきではないかという点は「4 審査請求の趣旨」の2行目にあたります。こちらにつきましては、今回、審査請求という手続きでございまして、審査請求書における審査請求の趣旨というものは、審査請求の理由、その後に記載があります理由とは位置づけが異なります。
 審査請求の趣旨というものは、審査請求において審査請求人が求める結論に相当する部分です。審査請求という手続きは、処分庁が行った処分の取り消しもしくは変更又は処分庁が申請を受けたにもかかわらず処分をしないという不作為について争うことができる制度です。それ以外の要求につきましては、審査請求の対象とはなりません。よって、「審査請求の趣旨」の欄に当該審査請求の対象となり得るものが記載されていない場合には、不適法な審査請求として却下されることとなります。一方、審査請求の対象となり得ますが、処分庁の判断に問題がない場合は棄却という判断になります。
 ここで、審査請求の対象となります処分というものですが、「その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められている」というものをいいます。本件における審査請求の趣旨の後半部分、2行目ですが、こちらは「直接審査請求人の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているもの」ではありません。そのため、審査請求の対象とはなりません。よって、当該部分については不適法な審査請求として却下することが妥当と考えており、そのために審理員意見書や審査庁の考えとしましては、その部分は却下というふうに言及をしております。以上です。

◆(伊藤建治委員) 行政不服審査請求という手続きはあくまでも行政処分、今回でいえば処分庁が行った処分に対してのみの是非が問われるものなので、仮に関連しているといってもその原因に意見を求めるということ自体は、この手続きには乗ってこないと、そういう受けとめ方でよろしかったでしょうか。

◎(吉永総務課主幹) 委員のおっしゃるとおりでございます。

◆(伊藤建治委員) 今ほど御説明があった中で「棄却」と「却下」という言葉についての説明も含まれていたと思うんですけど、この言葉の違い、もう一度わかりやすく説明をお願いいたします。

◎(吉永総務課主幹) まず「却下」というものですが、審査請求の対象となり得ないものについて要求を求めた場合に却下となります。今回ですと、審査請求の趣旨の後半部分、「市の調査と公表を求める」という部分です。これは処分性のない事項にあたるため、今回は手続きとして対象外となり却下となります。
 一方ですが、「棄却」というものは、処分性のあるものについての要求でして、こちらは審査請求の対象となり得ます。ですので、審査庁としましても、それにつきましては是非について回答するというものになります。今回ですと、審査請求の趣旨の前半部分、「不許可を取り消す」というものはまさに処分に関するものですので、こちらは是非の判断になります。なお、審査庁としましては、こちらの不許可処分に問題はないと考えており棄却としております。以上です。

◆(伊藤建治委員) わかりました。「却下」ということは、そもそもが審査請求するべきものじゃなくて、受け付けられないという意味ということでよろしかったかと思います。行政処分に対する不服審査請求に対する対応としては、今回の対応というのは適法といいますか適切といいますか、こうするほかないというのはわかりましたけれども、申立人が不服審査請求に至る気持ちというものも十分理解できます。この手続き上は棄却でありますとか却下という結論に至りますけれども、それだけでなく、申立人の思いを受けとめて、最終的には審査庁であります総務課になるかと思うんですけれども、紋切り型のみで対応するのではなく、ちょっとフォローがいるといいますか、温かみのある対応もしてほしいなと思うですけども、その点はいかがでしょうか。

◎(吉永総務課主幹) 審査庁としましては、審査請求に対する対応をしていくという立場、法令上の立場になります。ですので、審査請求という手続きでは却下という結論、やむを得ずそういった対応にせざるを得ないと、現時点では考えております。一方で市としましては、今回の審査請求人の思いということも十分理解をしております。ですので、もともとの不許可処分、市の担当部署ですと子ども政策課にあたりますが、こちらの部署からは審査請求人に対してこれまでも今回の不許可の理由など、又は市の取り組みにつきましては、十分に説明をお伝えしておりますし、今後も審査請求人に対してはそのような対応を続けていきたいと思っております。

◆(伊藤建治委員) わかりました。ありがとうございました。あと、手続きそのものについてもちょっといくつかお聞きしたいと思います。今回、関係する資料というものは請求をしていただいて、結果、私どもの手元に届いたわけなんですけれども、諮問という手続き、第三者機関にされる場合のほうが多いかと思うんですけれども、第三者機関に諮問する際も関係する書類というものについては請求がない限り提示しないという流れになっているのでしょうか。その点をお願いします。

◎(吉永総務課主幹) 春日井市におきまして、議会以外の第三者機関としては、行政不服審査会という機関がございます。こちらへの諮問につきましては、行政不服審査法に基づきまして、関係資料を要求なく最初から提出するという手続きになります。

◆(伊藤建治委員) 「法に基づき」という点がありましたけれども、つまりは議会側に諮問する際にはそういった定めがないという受けとめでよろしかったでしょうか。

◎(吉永総務課主幹) 委員のおっしゃるとおりでございます。

◆(伊藤建治委員) 法に記載がなくても、手続き上は同じように諮問をしていくわけですので、審査にあたりましてはやはり事件書類というものが必要だと思いますので、今後については、議会に諮られる場合には、こちらの求めなしに資料提示というものはしていただければなと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

◎(吉永総務課主幹) 資料に関しましては、審査請求は事案によりまして、事件記録など資料が膨大となることもあります。ですので、本件におきましては議案書に必要な情報を盛り込むという方法を採用させていただきました。一方で、本件の諮問手続きにおきましては、議会から審査請求書、弁明書、審理員意見書の提出の求めがあるということも認識いたしました。今後、同様の諮問をさせていただく際には、本件を参考としまして、どのような形で議会に情報を提供させていただくかという点は検討してまいります。

◆(伊藤建治委員) 行政不服審査制度というものは約50年ぶりに改正をされまして、公平性だとか使いやすさの向上が図られておりまして、平成28年、昨年ですね、4月からスタートをしております。これに合わせまして、他市ではその手続きの手法だとか流れについての説明というものが広く市民に案内されているところもありまして、私、今回の諮問審議にあたりましてそちらも参考にさせていただきました。春日井市のホームページにはそういった記載がないものですから、やはり法の改正の趣旨からしますと、本市においてもそういう対応が必要かなという点も感じましたので、その点申し上げておきます。以上です。

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