活動日誌−伊藤けんじ

【15.11.13】リニア中央新幹線について、政府交渉を行いました。

「環境保全協定の締結」を求める

 11/12(木) 政府交渉に参加し、国土交通省に対しリニア中央新幹線についての申し入れと、意見交換を行いました。

 春日井市の明智町付近、西尾保守基地から発生することが予想されるトンネル湧水によって、河川の排水能力への負荷がかかることへの懸念があります。また、トンネル湧水が出るということは、地下水への影響が生ずることであり、それによって、春日井市の水道水源や、貴重な古代種シデコブシが群生する築水池北湿地帯の水源、亜炭鉱への影響が生ずる可能性があります。

 影響が出た場合の対策・補償等について事業者と自治体の間で事前協議を行い、「環境保全協定」を結ぶように、国から働きかけるよう求めました。

 国土交通省は「環境影響評価が約束事である」と述べるにとどまり、保全協定の必要性を認めませんでした。

 環境影響評価書の内容はいわば「ないないづくし」で、影響も問題もほとんど生じないということが書かれているのみです。それが前提になることで、国もJRも起きうる問題への対策を考える思考が停止しています。

 全国で実施されている高速道路や鉄道のトンネル工事や、山梨県でのリニア実験線の整備に当たっては、多くの問題が生じています。リニアの本線工事ではこれらが生じないという前提には相当の無理があります。環境影響評価が約束事だというのであればなおのこと、約束を履行するうえでの事前協議と「環境保全協定の締結」が必要不可欠です。

やり取りメモ

県委員会からの事前申し入れ事項
 西尾保守基地による雨水排水への影響を懸念している。対策の方針を示してください。

国土交通省の答弁
 春日井市さんの件でございますが、春日井市の西尾地区には山岳トンネルの非常口と保守基地を設ける計画であります。山岳トンネルの非常口は現状の山地に向かって工事を行い、保守基地は現状農地となっている部分に、約3ヘクタールを要する計画を伝えております。今後、この計画の進行に当たっては、関係各位と必要な調整を行っているということでございます。

伊藤建治
 森林の保水機能だけでなく、トンネル湧水について心配しています。西尾の保守基地付近から岐阜方面に向かっては、シールド工法ではなく、ナトム工法で工事が行われる。したがって、トンネル湧水が生ずることが想定されておりますけれど、排水方法等の計画は具体的に示されていません。先日もJRの担当者とお話をしましたけれど、明確になりませんでした。

 西尾の基地予定地は内津川の支流のすぐ近くで、2011年にはすぐ近接した場所で水害で決壊して、民間家屋の床上浸水もあった場所です。
 たとえば、山梨県笛吹市の実験線では上黒駒で毎分10トンものトンネル湧水が発生していますけれど、このような湧水が西尾で発生した場合には、春日井市内では受け止められない。これについての考え方、計画は早期に示して欲しい。

 併せて、先ほど説明もありましたが、保守基地予定地は農地であります。農業振興地域の農用地でございまして、すぐ近くには未利用地がある中で、あえて貴重な農用地を利用する点は納得ができません。計画の変更の要請をして欲しい。

 トンネル湧水が生ずるということは、地下水脈への影響があるということ。地下数への影響は三点心配していることがあります。
 まず、春日井市の水道水源は20パーセントを地下水に依存していまして、市内に17か所の井戸がございます。うち5本は、リニア予定地に非常に近接した場所にあり、その影響が心配ということ。
 それから、春日井市内には、かつて亜炭が掘られた空洞があります。それは地下水によって地盤が安定していると思われていますが、ここへの影響が心配。
 また、春日井市内シデコブシが群生している貴重な湿地帯もありますので、その水源への影響も心配です。

 先ほど、保全に努めるように指導する、山岳トンネルについてはモニタリング云々という話がありましたが、愛知県内、春日井市も対象になっているのか伺います。

 そして、今申し上げたこと。影響が出た場合の補償や対応方法、事前に自治体と協議させて欲しい。国からも働きかけをお願いしたい。環境影響評価書では影響はないということで、影響が出た場合の対応については示されておりません。影響が出た場合にどうするんだということを自治体と協議をして、環境保全協定結ぶということを指導していただきたい。これについての考えも伺います。

国土交通省
 環境保全協定という話もありましたけれど、環境の話は、環境影響評価書、これがJR東海のお約束事だということで、すべてホームページに掲載されているとおりです。それについては、きっちりやると、それは約束です。それで、工事説明会とか地元の市町村が開催している協議会とかで、環境保全協定を結べというお話があるんですが、先ほど言いました環境影響評価書が公約みたいなものです。

 ただし、環境影響評価書に書いていない内容ですね。具体的に工事発生土置き場が決まって、トンネル非常口からどこそこにもっていくと、土砂をですね、どこを何台通るというときに、じゃあ、その、地元の実情に合わせて朝、夕方はトラック通らないとかですね、何台に抑えるとか、そういったことを、関係者と協議することはありますと、JR東海は言っていました。

 トンネルを掘ることで水が出るということなんですが、当然、工事に伴って出てくる水は汚れているということはあると思いますけれど、きっちり処理したうえで川なんかに環境基準を守って放流します。具体的に、この場所がどうということは、私もちょっとわからないので、一般論的になりますけれど配水するときはですね、ちゃんと、きちんと、地元の自治体と調整したうえで、排水をすると言うことで。洪水が懸念されるところは、例えば、いったん調整池みたいなものを設けるとかですね、いろんな関係があります。だから、ここは場所場所のケースバイケース。地元の、自治体と協議のうえで色んな排水計画を立てていくものだと。

伊藤建治
 工事の最中に発生する工事発生水のことをおっしゃられたんですけれども、工事終了後についてもトンネルから水が出続けますよね。それも併せて、現段階では何も示されていない状況で。今後、排水計画を組んでいくということですけど、これは早期に目途を示せるように事業者に指導して欲しいと思います。

 モニタリングの対象が、愛知県、春日井市もなっているかどうかお聞きしたいのですが。

国土交通省
 それはちょっと、影響が出る可能性があるところはモニタリングするっていうふうに、環境影響評価書に書いてあるところはモニタリングします。それから、評価書には都道府県知事意見というものもありまして、これに対する回答もありますので、ここに愛知県さんからどういう質問が出ているかどうかわかりませんけれど、ここに書いてあればきっちりやると思います。ただ、今、ピンポイントで言われても、ちょっとお答えできない。

伊藤建治
 あと、先ほどですね、環境影響評価書は約束事だから守られるのが前提だとおっしゃられましたけれど、もちろん、そうあるべきだと思うんですけど、事業をやってみたいとわからないものですから、約束を守る前提で自治体と事業者と協定を結んでおくべきだと思うんです。守れなかったときに、どうするんだということが、一切ないわけなんですよね。環境影響通りに行くとい話しかないわけでして、環境影響評価書に書いてないことは今後調整するとありましたけれど、当該地においては、影響書に書いてあることも含めて環境保全協定を結ぶように、指導すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

国土交通省
 仮定の話で協議するのは、あまりなじまないんじゃないかなと思いますが。

伊藤建治
 環境影響評価通りに行くってことも、「仮定」だと思うんです。どっちも同じだと思うんですよね。片方の言い分の「仮定」を前提に、物事が進んでいくのはおかしいと思う。

国土交通省
 想定外のことが起きた場合には、専門家の意見を聞いて、協議をしたうえで、措置検討していきますということは、たぶん何カ所かに書いてある。地元の理解を得るというのは、大前提なものですから、専門家の意見を聞いて、地元の自治体と協議するということになろうかと思います。

▲ このページの先頭にもどる

トップページに戻る
RSSフィード(更新情報)