活動日誌−伊藤けんじ議員団より

【19.04.08】未来に残したい、神屋地下ダム「神屋地下堰堤(えんてい) 」〜リニア新幹線工事を問う〜

きわめて珍しい地下のダム

 春日井市神屋町に、地下の伏流水を地上に運び、農業用水として使う地下堰堤があります。この水を使い、あたり一帯は豊かな田園風景が広がっています。

 もともとこの地域は水に恵まれず、養蚕業が農家の生業でした。明治時代から大正時代にかけて、良質な絹は日本の基幹産業として、外貨を稼いでおり、その原材料である蚕の産地だったのです。しかし、世界恐慌や化学繊維の普及により養蚕業は次第に衰退をしていき、神屋地区は産業の転換を求められました。

 昭和初期、村人たちは地下を流れる内津川の伏流水を地上に組み上げる地下堰堤の築造に着手します。まず、内津川を横切る大きな溝を掘り上げました。その大きさは、幅15m、長さ360m、深さ9mに及びます。水を通さない粘土層をダムとし、伏流水を通す丸石を敷き詰めた層を設け、地上に水を導く構造を作り上げたのです。重機のない時代の土木工事は人力にて行われ、困難を極めましたが、3年にわたる工事の後、昭和9年3月に竣工。神屋地区は稲作ができる地域へと大きく発展しました。

 このような設備は国内でも珍しく、貴重な文化遺産、産業遺産として春日井市の都市景観形成建築物等指定物件に指定されています。

リニア工事によって、枯れてしまわないか

 神屋地区一帯の水耕を可能にした神屋の地下堰堤が、リニア工事によって枯れてしまうのではないかという心配が広がっています。地下の水脈の様子は、地上からでは把握できません。地下の工事によって、井戸や河川が干上がってしまうことは多く、リニア新幹線工事によっても、静岡県の大井川が大幅に減水してしまうことも予想されています。山梨県笛吹市のリニア工事では、集落の簡易水道の水源となっていた井戸、8地区10か所が枯渇し、沢枯れは河川2系統、天川(テカワ)、金川(カネガワ)が枯渇に近い状態にまで減水しています。春日井市における、環境影響評価では十分な調査はされておらず、このような影響が出ないかという心配は尽きません。

 名古屋の名城非常口では、立坑を50m掘り進んだところで、大量の地下水が噴出。25mの水深まで水が溜まり、工事が3か月中断したまま。全く予測されていない事態です。地下のことは、掘ってみないと分かりません。

 「掘ってみたら、やっぱり水が枯れてしまった」では、済まされません。市民団体「リニアを問う会」の皆さんが、事業者との交渉を繰り返していますが、春日井市も市民の暮らしを守る立場から、事業者に対しての働きかけが必要です。これを議会で求めることが、私のやるべき仕事の一つです

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