活動日誌−伊藤けんじ

【16.12.12】生活困窮者自立支援について−12月議会一般質問

制度の隙間で支援が受けられない方への対応を

 9月議会に引き続き、生活困窮者自立支援法の取り組みについて質問しました。生活保護には至らないものの、生活の支援を必要としている方に対し、自立に向けてのサポートを行う事が法の趣旨です。

 春日井市では法に定められた、必須事業の「自立相談支援事業」と「住居確保給付金」に取り組みんでいますが、法では他にも任意事業としての枠組みを示しており、これらにも取り組む考えはないかをたずねました。

 また、一時的な資金支援を必要としている方への少額の貸付制度を設けるように求めました。

 以下、議事録からの抜粋です。

任意事業への取り組みと、少額貸付制度の実施を求める

◆23番(伊藤建治君)
 生活困窮者の支援について伺います。
 2013年,平成25年に生活困窮者自立支援法が成立し,2015年,平成27年に生活困窮者自立支援事業が国の制度としてスタートしました。これは,現在生活保護を受給していないが,生活保護に至るおそれがある人で,自立が見込まれる人を対象に,困り事にかかわる相談に応じ,安定した生活に向けて仕事や住まいなどさまざまな面で支援をするというものでございます。
 春日井市も,必須事業の自立相談支援事業と住居確保給付金に取り組んでいますが,法ではほかにも任意事業としての枠組みを示しており,これらにも取り組む考えはないかというのが(1)の質問の趣旨です。

 自立支援事業は,まず窓口となる自立相談支援事業で相談者を受け付け,その方に必要な支援は何かを見きわめて,事業プログラムを組み合わせて支援をするという枠組みになっています。

 しかし,春日井市では住居確保給付金の支給しか実施しておりませんので,それ以外のフォローアップができない,結果,結局生活保護しか支援の手だてがないということになります。
 2016年,平成28年10月6日の生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討資料によれば,新規相談者の状況は,経済的困窮を含め,複数の課題を抱えるという結果をまとめています。

 新規相談者の半数は経済的困窮を抱えているとのことですが,経済的な困窮はさまざまな困難を抱えた結果であり,その困難を解決することなしに,経済的困窮を脱することができません。春日井市が既に行っている住居確保給付金による支援をするにしても,それが必要になった背景には経済的困窮があり,その原因が就労困難であったり疾病であったりするわけで,それ単体では自立に向けた支援としては不十分で,任意事業の実施が必要でございます。

 任意事業のメニューとしては,就労準備支援事業,一時生活支援事業,家計相談支援事業と幾つかございます。就労準備支援事業は,経済的困窮の一番の要因である就労困難に対して,就労に必要な社会性やコミュニケーション能力を身につけるというところまで掘り下げてサポートを行うという内容。一時生活支援事業は,住居を持たずに暮らしている方の生活を立て直すための支援。家計相談支援事業は,生活設計のスキルを身につけていただくための支援。これらを複合的に組み合わせることで,自立に向けた支援として,より有効に役割を果たすものでございます。

 (1)として,これら任意事業に本市が取り組む考えはないかお伺いいたします。
 生活困窮者の支援活動に取り組んでいらっしゃる方から,次のようなお話をお伺いいたしました。
 生活困窮で相談に来る方は,本当にぎりぎりまで我慢に我慢をして,所持金が数十円というせっぱ詰まった状態で訪れる。あすの命をつなぐための手だてが何もない状態で,今すぐにでも食事や衣服の確保をしなければならないのに,その緊急的な手当てのための資金を確保する手段が何もないとのお話でした。
 社会福祉協議会の生活福祉資金貸付事業には,緊急小口資金という制度もございますが,貸し付けまでに日数を要することや,税金の滞納や借金のある方,慢性的に生活困難な方は対象外とされております。
 ぎりぎりまで我慢してきた方は,借金によって命をつないでいる方も少なくありません。慢性的に生活困難だから我慢を続けて限界に達するわけで,そういう事情が対象外になるのであれば,緊急的な制度としては機能していません。そうした場合のセーフティーネットとして生活保護制度があるわけですが,こちらも支給決定までには日数が必要です。
 また,生活保護には該当しないものの,緊急的な支援が要る場合もあるとのこと。例えば,就労して給与の支払いが受けられる予定だが,支払いは当分先で,手元にはお金がないという場合など。

 (2)として,このような制度のすき間で支援が受けられない方に対する緊急的な資金支援制度として,独自の少額の貸し付け制度が必要とされていますが,実施するお考えはないでしょうか。答弁を求めます。

◎健康福祉部長(宮澤勝弘君) 
 私からは,生活困窮者への支援についての御質問に順次お答えをいたします。
 生活困窮者自立支援制度の任意事業につきましては,就労に必要な知識及び能力の向上のための訓練を行う就労準備支援,住居のない生活困窮者に一定期間宿泊場所や衣食の提供を行う一時生活支援や,家計に関する相談,家計管理に関する指導等を行う家計相談支援,このいずれの取り組みにつきましても,現時点では,自立相談支援事業の支援の一環として対応しております。

 就労困難者に対する就労準備支援としましては,ハローワークの常設窓口と連携して実施しております生活保護者等就労自立促進事業,いわゆる就労支援プログラムや若者サポートステーションの利用,職場体験の実施など地域の資源を活用しているところでございます。
 いずれにいたしましても,任意事業としての取り組みにつきましては,今後各事業への相談者の需要を見つつ研究してまいります。
 次に,生活資金の貸し付けについてでございますが,緊急に資金の必要な生活困窮者には,社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度である緊急小口資金の保証人不要,無利子貸し付けで対応しているところですが,一定の審査はやむを得ないため,必要に応じて,生活保護の申請の案内や資金貸し付けまでの間,フードバンクを活用した食料支援を行っているところでございます。

 新たな貸し付け制度の創設につきましては,現在のところ考えておりません。

◆23番(伊藤建治君)
 生活困窮者自立支援事業の任意事業の内容は,自立相談支援事業の一環として対応しているというお話でございました。

 自立のための一番の鍵となります就労については,ハローワークの窓口と連携した就労支援プログラムを活用しているということでございます。

 これを私は,自立支援法の任意事業として位置づけをすれば,必要経費の3分の2が国から出るので,必要な人員確保のための財源をここから捻出できますので,人がふやせます。ですからぜひやってほしいという趣旨の質問をさせていただいております。

 生活保護に至る可能性のある人をこの事業で自立に向けて支援をしていく取り組みは,今後より一層重要度が増すものでございます。任意事業と位置づけて増員を図って,より分厚い取り組みとすべきと思います。人員増員できるという観点を含めて,改めて任意事業に対するお考えをお聞きしたいと思います。

◎健康福祉部長(宮澤勝弘君)
 生活困窮者自立支援制度の任意事業の実施につきましては,先ほどお答えしましたように,現状では自立相談支援事業による支援の中で対応が可能となっておりますが,今後の状況を見きわめながら研究してまいりたいと思います。

◆23番(伊藤建治君) 
 (2)に移ります。2回目でございます。緊急的な貸し付け制度についてでございます。
 食料支援だとか,社会福祉協議会の緊急小口資金で対応しているということでございました。

 緊急小口資金は,冒頭にも述べましたとおり,せっぱ詰まった緊急的な資金としては使えないというのが実態でございます。参考までに,貸し付けの実績等,その対象となるのはどういうケースが多いのかという点をお伺いいたします。

◎健康福祉部長(宮澤勝弘君)
 緊急小口資金の貸し付け実績につきましては,一昨年度が50件,昨年度が68件,本年度は現時点で35件となっており,貸し付けの対象ケースとしましては,ほとんどが生活保護を申請し,保護費が支給されるまでの資金を必要とする方でございます。

◆23番(伊藤建治君) 
 (2)の3回目です。
 緊急小口資金貸し付け制度は,生活保護申請から支給までのつなぎとして多く利用されているということがわかりました。

 しかし,今回話題にしておりますのは,生活保護には至らない人,こうした方は,やはりこの制度の対象からは漏れてしまいます。生活困窮者自立支援事業は,現在は生活保護を受給していないが,生活保護に至るおそれのある人で,自立が見込まれる人を対象に自立のための支援を行うというものでございますが,緊急的な資金の援助が必要なケースも出てくるかと思います。自立支援事業と一体でこうした資金貸し付け制度を設けることが,生活保護に至る手前での自立につながっていくものと考えますので,任意事業の実施とあわせて,全体的な支援の枠組みの中で考えていただきたいと思います。この問題については以上でございます。

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