活動日誌−伊藤けんじ

【16.09.26】都市部の農地を守るために −9月議会一般質問

都市農業振興基本法が制定された

 2015年(平成27年)に成立した「都市農業振興基本法」は、都市農業と、都市部の農地の役割を再評価し、農地の保全と、担い手の育成を進める方向を打ち出しました。

 これまで、都市部の農地は、農地法の転用の制限から除外したり、宅地並みの高い税金によって農地として維持ができないような囲い込みを行い、開発の後押しがなされてきましたが、「都市農業振興基本法」によってその方向性が大きく転換されることになります。

 都市農業振興基本法は、都市農業の多様な機能を次のように評価しています。

 ○消費者が求める地元産の新鮮な農産物を提供する役割。
 ○都市住民や学童の農業体験学習の場、生産者と住民の交流の場としての役割。
 ○緑地空間や水辺空間を提供し、都市の生活に安らぎや潤いをもたらす役割。
 ○都市住民の農業への理解を醸成する役割。
 ○雨水の保水、地下水の涵養(かんよう)、生物の保護などに資する役割。
 ○そして、火災時における延焼の防止や、地震発生時の避難場所など、防災空間としての役割。

 さらに、人口減少や高齢化などにより都市農地に対する開発圧力も低下しているとしています。そうした中、都市農業に再度光を当て、振興しようというのが、同法律の趣旨で、今年2016年(平成28年)5月には、同法に基づく、都市農業振興基本計画が策定されました。

宅地並み課税の見直しも

 これまで、私は何度か一般質問で、農地保全のための手立てを取ることを求めてきました。今回の都市農業振興基本計画にはこれまで述べてきた内容と合致する部分がいくつもあり期待しています。

 一つが、税制上の措置という部分です。
 市街化区域内の農地のうち、生産緑地に指定されていない農地には、宅地並みの課税、つまり農地課税の100倍の固定資産税が課せられ、農地としての維持が最も困難で、減少が最も顕著です。

 私は、農家が守りたいと希望している農地には、補助金など、宅地並み課税の負担を補うような支援策を講じ、農地を守ることができないか、と求めてきましたが、今回、都市農業振興基本計画では農地保有のコストの低減を図るべく、税制措置の検討を始める必要があるとしています。

生産緑地の追加指定、指定条件の緩和も

 生産緑地についても方向が示されました。
 市街化区域内の農地の保全に大きな役割を果たしている生産緑地は、市街化区域への編入のタイミングでしか指定することが認められていませんでしたが、私は追加指定をすべきだと求めてきました。生産緑地は500平米以上の集団化した農地であることが要件で、部分的にでも転用されて面積が下回ると、道連れですべて解除されてしまう問題についても指摘してきました。都市農業振興基本計画では生産緑地の面積要件の緩和や、新規指定も図るとしています。

 都市農業振興基本法は、第5条で、「地方公共団体は、これら法の基本理念にのっとり、都市農業の振興に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する義務を有するとしています。

春日井市も速やかに検討を

 税制度や、土地利用の規制に関わる制度については、国が具体化を図っている最中とのことですが、方向性は都市農業振興基本法や基本計画で示されています。本市における施策や計画についても様子見になることなく、速やかに検討に入るよう求めました。

春日井市内の農地面積の推移(数字はヘクタール)

 

▲ このページの先頭にもどる

トップページに戻る
RSSフィード(更新情報)