活動日誌−伊藤けんじ

【13.02.27】3月議会質疑 障がい者福祉費

 「障がい者福祉費」は障がいを持った方々が利用するサービスや施設運営などに要する費用ですが、前年度比25%もの増額になっていたのです。金額で40億円だったものが50億円と、10億円の増加です。

 障がい者福祉費は、対象となる方の人数の変動が少なく、また障がいの状態も固定されている方がほとんどなので、制度が変わらない限り、予算額が大きく変動することはありません。

 前回の12月議会で、平成24年度会計に対して、障がい福祉費は5億もの追加補正をしています。この時も驚いて質疑をしましたが、制度変更や報酬見直しが実施された影響との説明がありました。今回の予算でも同様の理由で、前年度当初予算から大幅の増額予算となっていました。

 その理由は、
一、事業者が増加し、伴って利用者数が増えているということ。
二、報酬単価について、地域区分の見直しがあって、0.75%増加したということ。
三、処遇改善加算や、児童発達支援管理責任者専任加算など、新たな加算項目が追加されたこと。

 でした。特に、処遇改善加算や、児童発達支援管理責任者専任加算(児童デイサービスなかかわるもの)については、国が、障がい者福祉制度に対する現場の問題を受け止めたのだと感じる部分でした。

利用者、事業者の声を、一定受け止めたもの

 障がい者福祉制度に対しては、なかなか目が向けられることはありませんでした。特に2005年 (平成17年)より施行された「障害者自立支援法」という法律によって、利用者にはサービス利用時に一部負担を求め、事業者には報酬の圧縮をするという施策が取られました。

 障がいは本人の責任ではなく、また福祉サービスは生きていくために絶対必要なものです。ここに、自己負担の原則と、利用抑制を持ち込むことは、生存権にかかわる問題だとして、障がい者団体から多くの声が上がり、裁判も起きています。

 その後、自己負担については所得軽減を拡大するなどして、大多数の障がい者の負担については軽減されました。

 裁判は、新しい制度に作り替えることを条件として、国側と基本合意を取り交わし、取り下げています。その後の経過では、基本合意とは違う中身での新たな法案策定がなされたことに対して声が上がっていますが、その話はまた別の機会に。

 話を元に戻します。障がいを持った方々の自己負担については、制度の理念上の問題は残すものの、実質的な問題はある程度解消したと思います。

 しかし、事業者の問題は残されたままでした。

 障害者自立支援法の体系に移行すると、大幅に報酬が減り運営が成り立たなくなる事業所が数多くあったのです。そのため、暫定的に、交付金事業として旧法体系時の報酬の9割は保証するという手立てが取られたのです。それはあくまでも暫定的なもので、いつまで続くかという見通しすら示されないものでした。平成24年度に至っては、年度途中の補正予算で手当されています。

 2013年(平成25年)からは、障害者総合支援法という新法に移行することだけが決まっていましたが、報酬体系については不透明なままでした。

 今回、このような報酬の見直しがされたことは、このような問題に対して一定の手立てが取られたものと受け止めます。

マンパワーの確保が課題

 障がい者施設を運営している方々とお話をするときに、いつも言われていたのが、マンパワーの確保の難しさでした。福祉事業は、マンパワーすなわち人の手によるサービスがすべてです。働く人たちを確保することが事業運営の唯一の保障となります。

 しかし、少ない報酬で事業運営をするために、職員に支払うことのできる給与はかなり厳しいものでした。特に男性職員については、結婚、子育てなどの時期になると辞めてしまうことが多いとのことでした。

 今回、処遇改善加算という、明確に働く人に対して支払われることを目的とした加算ができたことで、こうした状況が改善することに繋がることを期待したいと思います。そして、こうした制度は時の政府の意向でコロコロ変わることがあってはダメだと思います。安定的に今後も措置されるべきですね。

 ただ、障がい者福祉費については、少し気がかりなことがあります。それは、ここ一、二年で事業者の数がかなり増えたということです。必要な人が必要なサービスを受けられる環境が整うことは好ましいことではありますが、サービスの質、あるいは適切なサービスの在り方など、事業運営の中身は見ていく必要を感じました。

 ともかく、障がい者福祉の分野は、新しい法律の枠組みになりますし、今後の動向については注視する必要があると思っています。予算の増減についても気がかりですけれども、何よりも必要な人が必要なサービスをきちんと受けられる、それが保障できる制度であって欲しいと思います。

 現場の皆さんの声も積極的に聞きたいと思いますので、気軽に声をかけてください。

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